デリー北東部暴動(2月23日)
53人が死亡。数百名が入院。600名が逮捕。
日本の皆さんの間では、コロナウィルスの話題で持ちきりですが、
インドではコロナウィルスよりも心配な問題が起こっています。
ひと昔前まではしょっちゅうテロや暴動が起こっていましたが、
最近はとても平和で、あまり大きなテロや暴動は起こっていませんでした。
(地方は時々ありましたが、、、)
今回は首都デリーの北東部で起こりました。
52人が死亡(その多くがイスラム教徒)、数百名が入院、
約600名が逮捕されたそうです。
元々その暴動が起こった場所ジャフラバードでは、
2月22日に500から1000名のプロテスターが座り込みをしていました。
CAA(市民権改正法)に反対する座り込みです。
23日にBJP党の政治家カピル・ミシュラとその支持者たちが、
三日以内に警察によってプロテスターたちを排除させると言った、
と報道されています。
しかし、カピル氏は否定しています。
夕方4時ごろからプロテスターたちが反プロテスターに対して投石を始め、
夜9時ごろに激しい衝突になったそうです。
銃の打ち合いや、火炎瓶、火炎風船爆弾などで、
生きたまま焼け死んだ人も多数出ました。
また、屋根の上で火炎風船爆弾を製造していた疑いで逮捕されたのが、
AAP党の政治家タヒル・フセインでした。
しかも、タヒル氏は26歳のIB
(情報局(日本の公安のような組織))のオフィサーの
逮捕・殺人容疑もかけられています。
この暴動により、周辺の民家や店をたくさん焼き払われ、
数日間小競り合いが続きました。
23日から起こった暴動は、
アメリカのトランプ大統領夫妻がインドを訪問された
2月24日・25日にちょうど時期が重なった形となりました。
トランプ氏「インドと貿易交渉開始」 訪印で集会に10万人(日本経済新聞より)
この暴動は単なるヒンドゥとイスラムの衝突ではありません。
ヒンドゥとイスラムの対立のように見せかけ、
実はその裏では非常に複雑に複数の組織が絡んでいるように思えます。
この暴動に先立って、アッサムでも暴動が起こり、
デリー市内でも、ネルー大学やジャミヤミリヤイスラミヤ大学などで
学生たちがCAA(市民権改正法)反対運動をして、
警察ともめていました。
ネルー大学の場合は、大学の歴史にも関係があるのですが、
CAA反対運動の背後には、実はコミュニスト・ユニオンがあります。
CAAの問題だけでなく、寮費の見直しなど、別の件も重なっていました。
デリー北東部の暴動や、あちこちでのCAA反対運動は、
野党や様々な反政府(反BJP)組織が、
イスラム教徒など人々を扇動して起こしているような感じがします。
(報道では、一部、デモや座り込み参加者には、
食事や交通費なども支給されていたそうです)
CAAに関しては、きちんと法的に正式に可決されており、
暴力的な反対運動を起こすより、
反対する人たちには法的な措置で
対抗していただきたいです。
インドは巨大な民主主義の法治国家なのですから。
市民権改正法についてのわかりやすい説明がありましたので、
以下参考サイトをご参照ください。
<参考サイト>
アングル:抗議活動広がるインド国籍法改正の問題点(ロイター)
インド政府が、パキスタンやバングラデシュ、アフガニスタンといった周辺イスラム諸国で迫害されて2015年以前にインドに逃れてきたヒンドゥー教徒、仏教徒、キリスト教徒などの宗教的マイノリティーに市民権を与える新たな法律を導入したことで、国内に暴力的な抗議活動が広がっている。
野党は、全人口の15%近くを占めるイスラム教徒だけを市民権付与の対象から外したのは差別的だと主張している。政府の説明では、パキスタン、アフガニスタン、バングラデシュの3カ国はイスラム教徒が多数派を占めているので、イスラム教徒は迫害を受けるマイノリティーとみなされない。
市民権法改正めぐりインド各地で抗議活動、デリーでは交通規制も (JETRO)
インド北東部に位置するアッサム州では、バングラデシュから難民として逃れてきたヒンドゥー教徒が多くいることから(注)、彼らに市民権を与えることでアッサムの人々の雇用や独自の文化が脅かされるとして、12月上旬から抗議活動が発生。同月16日には安倍晋三首相が同地を訪問してモディ首相と首脳会談を行う予定だったが、治安を考慮して延期となった。
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