2013年3月12日火曜日

訪問クリニック・村の訪問

前回の記事の続きです。
訪問クリニックのスタッフは、自分達が来ていることを村人に知らせるのと、毎回診察が必要な病気の患者さんが来ていない場合、クリニックに行くよう説得するため、村をぐるっと周ります。
私達も同行させていただきました。

この村は比較的清潔にしていて、家も土の家がほとんどでしたが、きちんと手入れされていました。ただ、溝は汚い水が溜まって黒くなり、ボウフラがうようよいました。NGOスタッフが先ほど患者さんたちに説明していたのが蚊が媒介する病気と蚊の対策だったのが、なるほど、と思いました。この村はまだ水路が整備されておらず、セメントの側溝はありませんでした。溝が広くなって小さな池のようになっている所もありましたが、水は少なく、黒く濁って、ここもボウフラが発生していました。ところどころで、女性達がハンドポンプの側で食器を洗ったりしていましたが、ハンドポンプの周りもコケが生えていて、不衛生な印象でした。汚れた水が溜まってしまうようです。

村を周りながら、NGOスタッフからいろいろお話を伺いました。彼らは村のコミッティーメンバーとのミーティングをしょっちゅうしているそうで、それは村の人々の病気や困っていることなどを知るためだそうです。たまに来るだけでは、本当に村の人々がどういう状態であるのか、本当に必要なことは何であるのかわからないと言います。村の人々とコミュニケーションを良く取り、話を聞く努力が必要なのだそうです。彼は患者たちへの説明の中で、個人がいくら頑張っても改善出来ないことも、村の全員がみんなで村人のために協力すれば改善出来る、と言っていました。まさにこの溝や水溜りで発生する蚊の対策がそれです。彼は、私達の目的は薬を配ることではなく、健康な状態を作るために、村人の意識を向上することを目的としています、と言いました。

今回の訪問もとても学び多いものとなりました。経験に裏打ちされた智慧を惜しみなく教えてくださる先輩NGOのスタッフの皆さんに心から感謝します。学んだことを生かし、私達も母子保健プロジェクトを進めてまいります。











2013年3月10日日曜日

訪問クリニック見学・村のソーシャルワーカーの研修

2013年3月8日、NGOチルドレンエイドの母子保健プロジェクトに参加する村のソーシャルワーカー2名(女性と男性)の研修のため、訪問クリニックに見学に行って来ました。

(訪問クリニックとは、病院などがない地域に医師や薬剤師が出向いて診察を行うことです。見学は、訪問クリニックの活動の実績があるブッダガヤのNGOルート・インスティテュート(サクセナ・クリニック)にご協力いただきました。)

今回見学に行った村は、ブッダガヤから車で一時間ほどのバンケーバザールという地域の村です。もう少し先へ行くと隣の州、ジャルカンド州になります。この地域はマオイスト系ゲリラの活動地帯として有名です。今回行った村は、大きな道路沿いだから比較的安全だということで、外国人の私達も同行させていただきました。

その訪問した村のクリニックを開催した建物は、政府の学校でした。NGOスタッフの方が、「ここは一ヶ月前くらいから使っています。それまでは、手前の道路沿いの建物でクリニックを開いていました。ところが、数ヶ月前に、その建物が爆弾で爆破され、こちらに場所を移したんです。」と説明されました。

ここ数年、ビハール州はとても平和になり、この地域もだいぶ落ち着いてきたのかと思っていましたが、やはりまだまだ危険なのだと思いました。

ビハール州政府はゲリラ掃討作戦をして、数年前からすごく平和になっていたのです。しかし、州のボーダーの辺りは、隣の州への移動が簡単であることと、人があまり住んでいないジャングルが多いため、ゲリラが潜伏しやすいのです。

訪問クリニックに人が集まると、NGOスタッフが病気や衛生についての説明を始めます。この訪問クリニックには老若男女様々な人が患者としてやって来ます。私達のプロジェクトは、新生児と母親の健康について重点を置いています。私達も新生児とその母親達の健康向上のため、病気や衛生についての教育をしています。先日村のリーダー達から選ばれたソーシャルワーカーの二人に、その説明の状況を見てもらい、実際の現場を見て勉強してもらおうというのが、今回の見学の主旨です。

今回のテーマは「蚊を媒介して感染する病気の予防について」でした。その中で特にマラリアの症状についての説明があり、家族がそういう症状になれば、すぐ政府の病院に連れて行き、検査をして適切な薬をもらうこと、と説明されました。予防については、蚊に刺されないこと、刺されないためにはどうしたらいいか、村人たちに問いかけました。そして、寝るときに蚊帳を使うこと、家の周りの水溜りにケロシン油を少量混ぜると、その水溜りで蚊が繁殖できなくなること、殺虫効果のあるニームの葉を燃やして煙をたくと蚊が死んでしまうこと、など説明されました。

毎回感心するのですが、あまり電気もお金もない村人たちの、身近にある物を使う予防の方法を説明されるので、それがすごく勉強になります。

ソーシャルワーカー見習いの二人も、真剣に話を聞いていました。後で感想を聞いてみると、女性のほうは実際ケロシン油を掃除の際に水に混ぜたりしているそうで、しっかりしているなと思いました。これからいろいろ勉強してもらえそうです。