8月29日、第一期卒業生プレームジート君を、隣の州、ランチーに送り出しました。
彼はこれからプロのクリケッターを目指してトレーニングを受けます。
クリケッターになるのは、彼の子供の頃からの夢でした。
IIT受験塾に通う彼が、クリケッターのトレーニングを受けることは、賛否両論で、教師たちとも話し合いをしました。
勉強は一度離れてしまうと、再度ついていくのが大変だからです。
せっかく12年生まで勉強に励んで来た努力も、六ヶ月のトレーニングの間に勉強が遅れてしまいます。
「今が最後のチャンスなんです」と言って、彼は私の所へ何度も相談に来ました。
校長と相談し、クリケットのテストをして、彼が校長に勝ったらトレーニングに行くことを許可しよう、ということになりました。
クリケットのテストをした結果、、、、校長先生が勝ってしまいました。
私も校長も、これで諦めがつくだろうと思っていました。
ところが、彼は諦めませんでした。
トレーニングの申し込み期限の二日前まで説得に来ました。
私は彼の情熱に負けました。
トレーニングの許可を出す代わりに、条件を付けました。
ランチーでも塾に通い、勉強も続けること、という条件です。
プロになれるのは、ほんの一握りしかいないこと、六ヵ月後、上のリーグへのテストで落ちることもあるということ、現実の厳しさについて話しました。
彼は、初めて親元を離れて、自分で下宿を探し、塾も見つけました。
トレーニング代は驚くほど安かったのですが、それでも彼の家族の一ヶ月の生活費の半分かかります。
衣服を運ぶバッグも、教師から借りました。
教師たちは私が彼に許可を出したことを、優しすぎると思ったと聞きました。
でも、実際は、私は彼に現実の厳しさを学んでもらいたいのです。
夢を夢のままにしておくよりも、夢を実現しようとして、失敗してしまうことのほうがよほど心に負担がかかります。
夢のままにしておけば、いろいろな条件を理由にして自分の実力をごまかすことが出来ます。
自分自身、夢に向かって何度も挑戦し、何度も挫折した経験があります。
それらは痛い思い出ですが、人生の足腰を鍛えるいい機会になったと思っています。
どんな状況でも最善を尽くして、もし傷ついても、また前を向いて進んで行く、そんな強い人になってほしいです。
6歳のころから見ているので、ほとんど母親のような気持ちで送り出しました。
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