数日前、スーリヤ校第2期卒業生のチャンダンの父親が亡くなりました。
この数年前に撮影したビデオには、生前のお父さんが写っています。
チャンダンの母親は、6年前、すでに他界しています。
チャンダンは今19歳。
両親が二人共亡くなってしまいました。
「マダム、会いに来てくださいよ。」
電話の向こうの声は、いつもの明るいチャンダンの声でした。
私は彼の屈託のない笑顔を思い出して、ぐっと涙を堪えました。
ほんの3ヶ月前、チャンダンの妹二人は同時に結婚式を挙げました。
娘たちを結婚させて、チャンダンのお父さんは安心して天国に行ったのではないか、と私は思いました。
しかし、お父さんは、数年前から肝臓を患っていて、生きている間に娘たちの結婚を済ませてしまおうと必死だったようです。
娘たちの結婚式の間も、食べた物を吐いてしまったり、容体が悪かったそうです。
肝臓の病気になったのは、お酒が原因だそうです。
ビハール州に禁酒法が施行されたのは去年(2016年)4月からです。
もちろん、完全な禁酒にはなっておらず、村の奥のほうでは、秘密裏に別の方法でお酒が作られています。
チャンダンは長男で、19歳。
両親が結婚したのは、多分、15歳から18歳前後だったと思われます。
そうだとしたら、亡くなられたお父さんは、まだ40代手前の若さです。
チャンダンに会いに、卒業生数名と、ディレンドラ先生と一緒に行きました。
偶然、チャンダンの家の少し手前に象がいました。
チャンダンは(後頭部の一部の毛を少し残して)丸坊主になっていました。
長男として、父親の葬式などの儀式を毎日しています。
亡くなった日の夜は、ガヤのお寺で、火葬をする際、油を遺体の周りに垂らし、火をつける役目をしました。
亡くなった日から十日目、「ボウズ」と呼ばれる日は、家族の男性たちが「坊主(後頭部の一部を残して)」になる儀式をし、親戚や村人を招待して、結婚式のようなご馳走を振る舞います。
たくさんの費用がかかります。
チャンダンには高校生の弟もいます。
私はこれからの彼の生活がどうなるのか気になって、
「チャンダンのところは、畑があったよね?それで食べていけるの?」と聞きました。
すると、「あまりない、、、。」とチャンダンは答えました。
帰りの道中、他の卒業生たちが教えてくれました。
チャンダンの父親は、娘二人の結婚式のため、持っていた土地のほとんどを売ってしまったそうです。
チャンダンに残されたのは、レンガの家だけでした。
私はチャンダンに、昨年父親を亡くしたクンダンの話をしました。
クンダンは、主人と私が経営するホテルに就職し、夜勤をしながら、昼間、大学に通っています。
クンダンもそうして、母親とまだ幼い弟の生活の面倒をみています。
また、学費はエンジェルエイドから奨学金をいただいています。
「チャンダンも同じように、うちのホテルで仕事しない?」と私が言うと、「考えてみます」とチャンダンは真剣な目をして答えました。
悲しい。
でも、前を向いて歩き出して欲しい。
そう思い、お父さんのことはあまり触れず、これからのチャンダンの身の振り方について話をしました。
私は日本人なので、あまり慣れていないのですが、この日ばかりは、思いっきり、チャンダンをハグして、帰りました。
村の人々の、早すぎる生き方。
早く結婚して、早く子供を作って、早く子供を結婚させて、早く亡くなって、、、。
「法律を守って、出来るだけ男子は21歳、女子は18歳まで結婚しないように」と、私は生徒たちに言い続けています。
でも、それで良かったのかな。
村の人たちの人生は何もかも早すぎるから、遅く結婚したのでは、人生のサイクルが間に合わなくなるのでは、、、、?
と、一瞬思いながらも、
いやいや、ちゃんと教育を受けて、いい仕事をして、たくさん稼げれば、いざ病気になった時に、いい病院でいい治療が受けられる・・・
そう信じようと、また思い直しました。
あらためて、人生の短さ、人間の儚さについて考えさせられました。
どうか、チャンダンがこれから素晴らしい人生を生きられますように、、、!
(追記:上のビデオでは、パトナの塾の話が出てきますが、結局、地元ガヤの塾に行くことになりました。)
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