2013年9月10日火曜日

ブッダガヤで7月に起こったテロについて

ブッダガヤで7月に起こったテロについて

2013年、7月7日、早朝、ドーン!ドーン!という大きな音で眼が覚めました。前日、パトナからブッダガヤへ4時間かけて車で移動していたので、疲れていてぐっすり眠っていたにもかかわらず、眼が覚めてしまうくらい大きな音でした。エレクトリシャン(電気技師)がエアコンでも落としたのかな?(窓に埋め込み式の大きなエアコン)とか、結婚式の行列が夜到着できずに朝到着したのかな?(結婚式の際、爆竹や打ち上げ花火をするので、爆音に慣れてしまっています)などど考えながら、また眠りにつきました。

そして、普段通り起床し、朝の身支度をしていると、スタッフから電話がありました。ヒマラヤの友人から電話があり、「ブッダガヤでテロが起こったそうですが大丈夫ですか?!」というメッセージをもらいました。「まさかっ?!?!?!」と思いつつ、テレビをつけると、見慣れたマハーボディ寺院の映像が、、、!コルカタの友人も電話をくれ、安否を気遣ってくれました。自宅としているマハマヤホテルからマハーボディ寺院は徒歩一分、まさに目と鼻の先。そんな近くにいて、テロだと気付かない、爆音に慣れすぎた自分にびっくりしました。

それから数日、インド中からジャーナリストが駆けつけ、マハーボディ寺院の周りは中継者だらけになりました。当日午前中、ビハール州知事ニティッシュ・クマールが現場を視察しました。そしてソニア・ガンジーや内務省の大臣まで、続々と要人が視察に訪れました。要人が次々に現地を訪問するので、地元警察は要人警備の対応でてんてこ舞いでした。NIA(テロなどを取り締まる特別警察)の捜査チームは、なんと、天候不良のため、ガヤ空港に降りられず、コルカタへ引き返した、というニュースもありました。

デリーやムンバイなどの都市は、常にテロの危険があるため、テロリストに対する捜査は徹底していて、対テロの特殊警察は非常に優秀だという印象があります。しかし、いざ、予想外の場所で起こった場合の対処の遅さに、今更ながらびっくりしました。
実は、予想外と言っても、昨年からブッダガヤが狙われている、という情報は発表されていて、現地的にはマハーボディ寺院の警備を厳重にしているつもりだったようです。
もともと金属探知機も壊れていて作動していなかったり、CCTVカメラの映像を見る機器も整っていなかったり、外国人の私からすれば、アゴが外れそうな、あまりにもインド的な状況だったのでした。
ここ数年、ビハール州は平和になりすぎて、警察もゆるくなってしまっていたのかも知れません。
私が嫁いだ頃は、ゲリラが多く、警察も緊張感があったように思います。

現在、NIA(http://en.wikipedia.org/wiki/National_Investigation_Agency)が中心となって調査続行中です。テロ組織などから犯行声明が出ていないこと、爆発物が小規模なものであったこと、置いてあった場所が寺院や仏像を直接破壊する場所でなかったこと、爆発した時間帯が人が少ない時間帯であったこと、ブッダガヤの複数の場所に爆弾を設置していたのでローカル情報に詳しい人物が関わっているだろうということなど、地元ではイスラム系テロ組織のやり方としては不可思議なことが多いという意見が多く、州政府に反対する政治組織などがテロに見せかけて仕組んだのではないか、など様々な推測が飛んでいます。

マハーボディ寺院は、テロの数日後から寺院を通常通り開放しています。事件の影響で、海外からの巡礼者の数は少なめですが、徐々に通常とおりに戻りつつあります。事件後、寺院周辺やゲートの警察官が増員され、寺院へ入るにはボディチェックを受けるようになっています。また、携帯やカメラは持ち込み禁止になり、ゲートで預けるようになっています。

テロ事件後、行政は寺院周辺の安全確保に力を入れており、以前から立ち退きを要請していた寺院手前の土産物店などに、再度立ち退きの通告を出しています。

今回の事件をきっかけに、インド中央政府もブッダガヤの安全や発展のために力を入れるようになりました。世界遺産のある国際観光都市として、開発に拍車がかかりそうです。

地元の人間の感覚として、実は、テロが起こった場所は、2年間くらい、すごく安全なんです。警備が厳しくなり、再びテロを起こすのが難しいからです。

ということで、今、ブッダガヤ、特にマハーボディ寺院は安全な状態です。ご心配いただきました皆さんどうかご安心ください。

テロの爆発で負傷された僧侶のお二人の早い回復をお祈りいたします。


 以下、AFP通信より転載___________________________

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2954694/11014456

【7月8日 AFP】インド東部ビハール州(Bihar)の州都パトナ(Patna)に近い仏教の聖地の1つ、ブッダガヤ(Bodhgaya)で7日、複数の小規模な爆発が発生し、僧侶2人が負傷した。歴史的寺院には被害はなかったという。地元警察が発表した。
 紀元前531年に仏教の開祖、釈迦がその下で悟りを開いた菩提樹があるとされるブッダガヤの大菩提寺には、世界各国の仏教徒が訪れる。ビハール州の警察署長はAFPに対し、「神聖な菩提樹は無事で、損傷は受けていない」と語った。
 警察幹部のS. K. バラドワジ(S. K. Bharadwaj)氏によれば、「7日早朝に小規模な爆発が8回連続して発生し、2人が負傷した」という。また、この他にも2つの爆弾が見つかり、寺院の敷地内で信管を取り外す処理が行われた。その1つは、高さ24メートルの有名な仏像の近くにあったという。
 マンモハン・シン(Manmohan Singh)首相は、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage Site)にも登録されている寺院で起きた爆発を強く非難。「神聖な場所に対するこのような攻撃は、決して許されるものではない」と述べた。
 アニル・ゴスワミ(Anil Goswami)内相は爆発を「テロ攻撃」だとしているが、インドPTI通信(Press Trust of India)によると、現在のところ犯行声明は出されていない。
 インドでは、仏教徒に対する攻撃はまれだが、ミャンマーやスリランカ、バングラデシュでのイスラム教徒と仏教徒の衝突を受け、周辺各国でも緊張が高まっている。(c)AFP/Imran Khan
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